障害者支援施設「にじ」で訓練をされ、令和4年10月からグループホームの生活と就労継続B型事業所での就労を開始したAさん。

グループホームで新しい生活が始まりました
「にじ」では約4年間という長い期間、リハビリと生活、就労の訓練を頑張ってこられました。
左片麻痺と高次脳機能障害が残るAさん。
「にじ」に入所された時は、車いすを使用し、入浴には介助が必要でした。
訓練に真摯に取り組んだことで、歩行できるようになり、入浴や近隣への買い物も一人でできるようになりました。

その後、社会復帰を目指し、就労の訓練をおこないました。
施設内の清掃や器具の消毒作業などをおこなうことで、歩行スピードのアップや、立位バランスの向上につながりました。
パソコンを使用した事務作業もおこないました。
高次脳機能障害の注意障害の影響で見落としやミスなどの指摘を受け、何度も見直す練習を繰り返しました。
その結果、データの入力や集計、毎月の出席表作りなど、責任を持って実施できるようになりました。

就労継続支援B型事業所で週5日仕事をしています

自立した生活を始められたAさん。
「これから、パン屋でパンを買って食べたい。」「コーヒーを喫茶店で飲みたい。」「映画館で映画を見たい。」
生き生きと新しい生活を送られています。
ご自身の障害を受け止め、残存機能を生かして生活する努力を続けるAさんの姿は、私たち支援者の心に残っています。

スタッフと一緒にお弁当をつくります
障害者支援施設「にじ」の就労移行支援OBのAさん。
就労移行支援のご利用を経て就職したのち、現在は就労定着支援をご利用になられています。
就職して3年半が経ち、間もなく就労定着支援も終了です。(就労定着支援事業は、利用開始から3年間の支援ができます。)
就職が決まって「にじ」を退所した時は、ご両親と同居のため、調理をすることなど、考えもしませんでした。

お米を洗います
それから3年半。
その間には、いつも食事やお弁当を作ってくださるご家族が入院するという時期もありました。
面談の中で、「食事が大変だった」とお聞きしました。
そこで、「ご自分でおにぎりを作ってみたらどうでしょう?」という提案から、調理訓練をおこなう運びとなりました。

ラップは難しい・・・
右手が使えなくなってから、キッチンに立つのは初めてです。
「どうやって切るの?」「ラップは難しい・・・」など、実際にやってみて、わかったこともありました。

久しぶりの調理です
お弁当ができあがるまで、約1時間かかりました。
「1時間かあ・・・早く起きんとな」そう話されるAさん。

こんなお弁当ができました!おいしそうです!
施設を退所されてから、3年半という期間には、職場環境だけでなく生活環境の変化もあることを、Aさんの支援を通して学ぶことができました。
「時々は、早起きしてお弁当を作ってみてはいかがでしょうか?」
支援は終了しますが、これからも仕事を続けていただきたいなと願っています。

障害者支援施設「にじ」を退所後に就職したAさま。現在、就労定着支援センターで支援をさせていただいています。
脳出血によって右に麻痺が残ったAさまが就職されてから1年。ひとり暮らしも2年目に入りました。
今回は、麻痺のために右手が使えず、右足にも装具が必要なAさまが、ひとり暮らしをしていくためにされているさまざまな工夫をご紹介します。

ひとり暮らしをするにあたってとても大切なことが「転倒しないこと」。
転倒しない=けがをしない、ということは、仕事の継続にもつながります。
そこで、転倒を防ぐ工夫として、Aさまは、玄関や洗面所にも椅子を置いています。
靴を脱ぎ履きする際に椅子を使うのは想像に難くないと思いますが、お風呂場で着がえや洗顔・歯みがきなどをするときも、椅子に座ればより安全におこなえます。

装具があたって破れることがあるのを考え、靴は多めに用意しています。
靴は、横幅が広いものを選べば市販品でも履くことができるため、おしゃれなAさまもいろいろな靴を楽しんでいます。

また、料理や食事、食器洗いにはすべり止めが必須。使用する場所によって違うすべり止めを用意しています。


さらに、ひとり暮らしで自炊をするAさまには、釘つきのまな板も必要になったため、就労定着支援センターのスタッフが手作りしました。

これからの季節、雨の日の通勤も増えますが、傘は折りたたみを使います。そうすれば、必要のないときにはカバンに入れることができ、手を使えるようになります。
こうした工夫は本当にちょっとしたことなのですが、するとしないのとでは大きな違いがあります。

もちろん、麻痺がありながらひとり暮らしをしていれば、不便なこともたくさんあると思います。
それでも「しょうがないですよ」「だいぶ慣れました」と明るく話してくださるAさま。
日々の生活に小さな工夫を考え、実践しながら安全で快適な暮らしをつくり、「この先5年、10年、単身生活と仕事を続けたい」という目標をかかげて仕事にはげまれるAさまを、わたしたちはこれからも応援していきます!

病棟の食堂テーブルに湯呑みを置いていくAさま
障害者支援施設「にじ」で、就労移行支援の訓練を約3年続けてこられたAさま。この4月に就職が決まり、「にじ」を卒業してついに社会人への復帰を果たされました。
「にじ」では就職を目標に、訓練に一所懸命取り組んでこられたAさまは、出された指示をきっちりと守り、正確かつていねいに仕事をなさる方です。
気持ちもいつも安定しており、ほかの利用者の方と協力して行う作業も、しっかりおできになっていました。
そんなAさまになら「できることがある!」とわたしたち支援者の意見が一致し、今年の1月から現場での実習がはじまりました。
※写真はすべて実習時のようすです。

患者のみなさまにお出しするお茶を作ります

使用済みのたくさんのシーツを片づけ
病院でおこなった実習では、シーツの片づけや消毒作業などの仕事に真摯に取り組み、この病院への春からの就職が決まりました。
病院の看護師、介護福祉士がこれまでしていた仕事からAさまにできる作業が割りふられ、「にじ」就労移行支援の先輩である病院スタッフのBさんが担当する業務も分担することとなり、毎日の担当業務が決まりました。

事務室で廃棄書類をシュレッダーにかける作業中

食堂のアクリル板を拭きあげます

診察室のデスクもすみずみまで消毒
Aさまが就職してもうすぐ約1か月。
病院のスタッフや患者のみなさまから「助かっています」「きれいに拭いてくれてありがとう」という声援をもらい、Aさまは今、充実感でいっぱいの毎日を送っています。
新型コロナウイルスの影響で、きゅうくつな生活がもう2年以上続いています。
Aさまが毎日一所懸命、ていねいに続けている消毒作業は「新しい生活様式」が必要となった令和の時代に欠かせない大切な仕事です。
「世間が必要としているものと、あなたの才能が交わっているところに天職がある」というアリストテレスの名言を、Aさまの働く姿を目にしながら、「にじ」スタッフはかみしめています。

改造を終えたAさんの車両。Loopのスタッフの方から教わります
障害者支援施設「にじ」で就労移行支援の訓練を終え、令和元年9月より復職されたAさん。
けがをする前に購入されていた自動車では車いすの積み込みが難しいため、ご家族の送迎で通勤されていました。
しかし、今後のことを考え、ぜひ自分で運転して通勤できるようになりたい!ということでご相談いただき、就労定着支援センターで支援することとなりました。
まず、車いすを変更するか改造車にするか、ご自分で通勤できるようになるための方法を一緒に考えていきました。
そして、福祉車両のカスタマイズなどをおこなっている株式会社Loop様に相談にうかがったところ、車いすはそのままで、車にリフトをつけることで積みこみができるようになることがわかり、改造車を購入することになりました。
Aさんは、両手機能と両下肢に障がいがあるため、ドアの開閉やリフトの操作、車の乗りこみなど、多くの点で工夫が必要でした。
でも「一人で運転して移動ができるようにしましょう。自分たちにできることはなんでもします!」という心強い言葉とともに、Loopのみなさまがたくさんの改造と工夫を加えてくださって、ついにAさんの車両が完成!
5年ぶりの運転で不安もあるので、別府リハの自動車運転コースで、久しぶりの運転に挑戦することになりました。

車いすをつける位置を確認

リフトで車いすを吊り上げます

別府リハの自動車運転コースで練習。車いすもきれいに収まりました
練習の成果で、Aさんは車いすの積みこみもスムーズにできるようになり、5年ぶりに運転席に座ることができました。

5年ぶりに座る運転席です
雨の日の車椅子の積みこみをどうするかなど、まだ解決すべき点はあるものの、職場の駐車場についても上司の方にすでに相談し、通勤できる日はもうまもなくです。
障がいを持ちながら働きつづけようとすると、さまざまな課題に直面して、立ち止まってしまうこともあります。
わたしたちはこれからも、利用者のみなさまと一緒に考えて課題を一つひとつ乗り越え、前に進めるよう支援していきます。